衛生管理者選任報告(様式第3号)の書き方と記入のポイント
誰を選任するかが決まったら、所轄の労働基準監督署へ報告する。使うのは様式第3号——総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医をまとめて報告する共通の用紙だ。産業医を選任したときと同じ様式なので、一度書き方を覚えれば次から迷わない。本ステップでは、何を、どの欄に書くか、添付書類は何かを順に確認する。
この記事で分かること
- ✓選任報告は、産業医等と共通の「様式第3号」を使う。衛生管理者専用の様式ではない
- ✓事業場情報・労働者数・選任者の氏名や免許・選任年月日を記入する
- ✓免許証の写しを添える。入力支援サービスを使うと記入の手間が減る
このステップの位置づけ
第2回までで、どの種類の衛生管理者を何人、誰を選任するかが固まった。本ステップは、それを正式な書面にして提出する工程だ。選任そのものは社内の決定で完了するが、選任しただけでは義務は果たし終えていない。様式第3号による報告までを「遅滞なく」行って、ようやく一区切りとなる。
「衛生管理者 選任ガイド」全4回の現在地です。
様式第3号 —— 何を記入するか
様式第3号は1枚の用紙で、選任した管理者をまとめて報告できる。衛生管理者だけを報告する場合も、この用紙を使う。記入する内容は、大きく「事業場の情報」と「選任した人の情報」に分かれる。
事業場の情報としては、労働保険番号、事業場の名称、所在地、事業の種類、常時使用する労働者数を書く。労働者数は選任義務や人数要件の前提になる数字なので、実態に合った値を記入する。選任した人の情報としては、選任した管理者の種別(衛生管理者)、氏名、生年月日、選任年月日、免許の種類と番号(第一種または第二種)、専属・専任の別などを記入する。最後に、事業者(事業場の代表者)の職・氏名を記入する。
記入欄を順に確認する
つまずきやすい欄をいくつか補足する。事業の種類は、できるだけ具体的に書く(「製造業」より「自動車部品製造業」のように)。これは第一種・第二種のどちらが必要かの判断にも関わる。選任年月日は、社内で正式に選任した日付であり、事由発生日から14日以内に収まっているかをここで確認できる。選任種別は「衛生管理者」を選び、担当すべき職務の欄に衛生に係る職務を記入する。衛生管理者の免許には専用の番号欄がないため、免許証(第一種・第二種)の写しを添付して確認できるようにする。専属・専任の別は、第2回で確認した要件に従って記入する。
衛生管理者選任時に記入する主な欄
労働保険番号
事業場の労働保険番号(14桁)を左詰めで記入。労働保険の申告書控えや成立届の控えで確認できます。事業場ごとに異なる場合があるため、本社一括ではなく対象事業場の番号を使います。
事業場の名称
法人名ではなく、対象となる事業場の名称(例:「○○株式会社 △△工場」)を記入。事業場ごとに別の様式で届け出ます。
事業の種類
主たる事業の種類を具体的に記入(「製造業」より「自動車部品製造業」のように)。第一種・第二種のどちらが必要かの判断にも関わります。
事業場の所在地(郵便番号・住所)
労働者が実際に勤務する事業場の所在地。提出先も原則として、その事業場を管轄する労働基準監督署です。
電話番号
事業場の代表電話番号を、市外局番から左詰めで記入。
労働者数
会社全体ではなく、その事業場で「常時使用する労働者数」を右詰めで記入。専任や衛生工学衛生管理者の要否に関わる有害業務の従事者数を併記する欄もあります。
フリガナ・被選任者氏名
選任する衛生管理者の氏名。姓と名の間は1文字空けて記入します。
選任年月日
衛生管理者として選任した年月日。「事業場が50人に到達した日」と「実際に選任した日」を混同せず、事由発生から14日以内に収まっているか確認します。
生年月日
選任する衛生管理者の生年月日(元号区分に従って記入)。
選任種別
選任種別の欄で衛生管理者の区分を選びます。「3.衛生管理者(4以外の者)」、衛生工学衛生管理者として選任する場合は「4.衛生管理者(衛生工学管理担当)」です。総括安全衛生管理者・安全管理者・産業医を報告する場合は別の区分になります。
専属の別・専任の別
衛生管理者は原則その事業場に専属。2人以上を選任し労働衛生コンサルタントが含まれる場合は1人は非専属可。専任は、常時1,000人超、または常時500人超で一定の有害業務に常時30人以上が従事するとき、1人を専任とします。
担当すべき職務(安全管理者・衛生管理者の場合)
様式上の「安全管理者又は衛生管理者の場合は担当すべき職務」欄です。衛生管理者を選任するときに記入します。衛生管理者が担当する衛生に係る技術的事項——職場巡視、作業環境管理、作業条件・施設等の衛生上の改善、健康診断の事後措置、健康相談、衛生教育など——を簡潔に記入します。「労働安全衛生規則第11条等に定める衛生に係る技術的事項の管理」のように要約して記入する例もあります。
総括安全衛生管理者・安全管理者の場合は経歴の概要(衛生管理者は記入不要)
この欄は総括安全衛生管理者・安全管理者を選任するときの経歴の概要欄で、衛生管理者の選任では記入しません。その下にある「産業医の場合は医籍番号等」の欄も衛生管理者は対象外です。衛生管理者の免許には専用の番号欄がないため、免許証(第一種・第二種)の写しを添付し、必要に応じて参考事項(13番)に免許の種類を記載します。
参考事項
様式裏面の記入要領に従って記入します。衛生管理者の場合は、免許の種類(第一種・第二種)など補足が必要な事項をここに記載できます。
「前任者氏名」「辞任・解任等の年月日」欄について
初めての選任では、これらの欄は記入不要です。既存の衛生管理者を交代する場合に、前任者の氏名・辞任日等を記入します。
添付書類を準備する
報告書には、選任した衛生管理者の免許証の写しを添えるのが一般的だ。第一種・第二種の別と免許番号を、写しで確認できるようにしておく。必要な添付書類は労働基準監督署や提出方法によって運用が異なる場合があるため、提出前に所轄署の案内で確認しておくと差し戻しを防げる。
実務メモ — 控えを必ず残す
提出する報告書は、提出前にコピーを取るか、電子申請なら申請内容の控えを保存しておく。後日の問い合わせや、次回の選任・変更の際に、前回の記入内容が手元にあると作業が速い。選任報告は一度きりではなく、人の入れ替わりのたびに発生する手続きだと考えておくとよい。
入力支援サービスの利用方法を確認する
厚生労働省は、必要事項を画面に入力すると様式を自動で作成できる「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」を提供している。白紙の様式に手書きするより、入力漏れや書式の誤りを減らせる。作成したデータは、印刷して窓口・郵送で提出することも、次回扱う電子申請につなげることもできる。はじめての選任報告では、この入力支援サービスから入るのが分かりやすい。
試験ではこう問われる
- 提出先:所轄労働基準監督署長
- 提出時期:遅滞なく
- 様式:様式第3号(総括安全衛生管理者・安全管理者・産業医も同じ用紙でまとめて報告)
- ポイント:選任は14日以内、報告は遅滞なく、という時間軸の対比
次回(ステップ4)
第4回は「電子申請で届出を済ませる」。e-Govを使ったオンライン届出の進め方、届出後の受理確認と社内記録、そして選任から記録までを一覧にしたチェックリストでシリーズを締めくくる。
本記事のご利用にあたって
本記事は、労働安全衛生法および厚生労働省・労働局等の公表情報をもとに、実務担当者向けに要点を整理した一般的な解説です。選任義務の有無・人数・記載方法・対象範囲は、事業場の規模・業種・作業内容等により異なります。実際の手続にあたっては、最新の法令と所轄の労働基準監督署・産業保健の専門家にご確認ください。最終的な要否・正誤の確認は、ご自身(各自)で行ってください。
参照元
- 労働安全衛生規則 第7条第2項・第2条第2項(選任報告)、様式第3号/e-Gov法令検索:https://laws.e-gov.go.jp/
- 厚生労働省「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」
- 各都道府県労働局・労働基準監督署の様式・提出案内
- 本記事は2026年6月時点の様式・運用に基づく。記入欄や添付書類は変更され得るため、提出前に最新の様式と所轄署の案内を確認されたい。